池利について
千寿亭の美味しい理由
藤田店長はどんなきっかけで料理の道に入られたのですか?
何よりも大きいのは幼い頃から料理が好きだったことですね。初めは病院で食事づくりをしていたのですが、相手が病人の方々では内容にも制限がありますから、いずれは自立したいと思っていました。
ひょんなことで知人から池利が店を出すという話があり、スタートから千寿亭を任されています。
そうするともう30年近くお仕事をされているということですね。
当初、実は私自身が素麺という物は夏場のものというイメージしかありませんでした。この池利の素麺を初めて食べたときに、私のそれまで持っていたイメージが変わったことが大きかったです。「素麺ってこんなに美味しいものだったの?コシがあって美味しいんだ!」この時の感動がこの店の出発でした。 この時の感動を多くの人に伝えたい!この思いでずっときています。
しかし、素麺自体がシンプルな素材ですからメニューなどを作っていくのは難しいのではないですか?
メニュー作りはずっと試行錯誤の繰り返しです。
今でもお客様がどのようなものを求めてこの店に来て頂いているのかをあれこれ考えて作ってみてるのですが、案外新しいメニューよりも今まで通りのものに注文を頂きます。
それは何故でしょうね。お客様の年齢層ですかね。
そうとも言いきれないと思います。 実際ご年配の方が来店されることは多いですが、結構若い方も来られます。 私が思うに、この辺りで和食を安心して美味しく食べられる店として選んで頂いているような気がします。 ですから、炒めたものや洋風の会心作と思う新しいメニューよりも従来のメニューを注文していただいてると思います。
なるほど。それだけこの店は広く知ってもらい、期待されている訳ですね。
ところで、千寿亭のこだわりというと?美味しさのコツは?
やはり食材へのこだわりです。
出汁(だし)は刺身にでもできる鯛を使っています。三枚におろしてからあぶったものを出汁に使います。昆布と鰹にもこだわっています。それと、地元の旬の食材をふんだんに使うということですね。
勿論、素麺のゆがき方は言うに及ばずですが、ゆがいた後すぐに氷水の中でしめるのも美味しさのコツですね。
なんと極上ですね!お店としての心遣いは?
何度も繰り返しますが「美味しかった!!」そう言ってもらいたいという一心でやってきました。どうしたら美味しく感じてもらえるか?そういうところから千寿亭では料理を小鉢に盛っているというのも好評ですね。
小鉢にいろいろ盛ることで料理の価値を高めていけるように思います。
素麺自体がシンプルですから付随する料理もそういう形をとっています。 接客もあまり丁寧すぎたり過剰にならないよう気をつけています。
最後に今後に向けた思いを聞かせてください。
そうですね、今のまま、このサービスを落とさずに皆さんに喜んでもらえる店として続けていきたいですね。
これまでずっと私は自分に自信を持てずに毎日毎日努力してきたからこそ、素麺料理の店として30年近くお客様のご支持を頂いてこれたと思っています。
中途半端に調理済みの商品を使ったりせずに、とにかく自分の手で何でも作ってみたいのです。メニューに載っているデザートの白玉団子もわらび餅も手作りです。結構人気商品なんですよ。
お出しした料理を平らげてくれて空っぽになった鉢が洗い場に戻ってくる時は本当に嬉しいですね。お客さんに喜んでもらえることを第一に掲げてこれからも努力あるのみです。
この店がこの地で長い間親しまれてきた理由が店長の話を伺っていて良く分かりました。
これからもご活躍ください。有り難うございました。